阿刀田高の短編で、
「夜間飛行」という小説があります。
ふいに亡くしてしまった不倫相手がつけていたのは、
「夜間飛行」という香水だった。
彼女にまた会いたい、
会えたらいいのにと焦がれて開けたエレベーターから、
ふんわりと漂うのは、
「夜間飛行」の残り香だった。
ガラスの肖像【電子書籍】[ 阿刀田高 ]こんなストーリーです。
初めて読んだのは、
中学生のころでした。
多分に多感なお年頃です。
高校生になって、
初めて手に入れた香水は、
でも、
残り香のさりげない、
プチサンボンでした。
まだ、
香水の似合うオトナではないと、
躊躇しちゃったんですよね。
その頃の青写真では、
40代にはオトナの予定でしたが、
まださっぱりです。
その香りが、あなたのイメージになる
香りと言えば、
もうひとつ。
Papa told me というマンガのエピソードです。
化粧品メーカーに勤める「百合子ちゃん」が、
小学生の姪に自社製品のモニターを頼んだとき、
こんな話をしていました。
社会人になったばかりのころ、
これに挑戦したのです。
これと決めたのは、
ラベンダー。
眠りを誘う、
あの花です。
でもまあ、お察しの通り、
目的成就せず、現在に至ります。
お金も、手間もかかりすぎて、
分不相応だったのでした。
元々使っている化粧品シリーズで、
全部揃えられれば良かったんですけど、
そんなラインナップもなく。
結局、残ったのは、
練香だけです。
いくつかあった香水も手放しましたから、
身に着ける香りは、
ミニマムで過ごしています。
揮発するスピードがゆるやかで、
限定的にふんわりと薫るので、
気分転換に重宝します。
職場のデスクにも、ひとつ置いています。