こんにちは、しゅりです。
勤務先は療養型病院(高齢者が長~く入院できる病院)ではありませんが、それでも入院患者さんの多くはご長寿さんです。
もちろん、意識がはっきりせず寝たきりの患者さんもいらっしゃいます。
そんな患者さんたち、全員ではないですが、いつも呻吟している方もおられるのです。
呻吟(しんぎん)
医療関係の方はご存知ですよね。
寝たきりの患者さんが一定の間隔で平坦な声を出し続けるアレ、です。
友人の一人は、「ヤギや羊を思い出す」と言っていましたが、そんな感じです。
定規で線を引くような一本調子の「なー」が、メトロノームのように等間隔で発声されると言いましょうか。
▶▶あ、この例は、最近まで入院していた患者さんでした。
人によっては、「う-」や、「おぉぉ」だったりします。
この呻吟、苦しくてうめき声が出てしまう、とされています。
教科書的な解釈では。
現に、熱があったり、酸素濃度が低下していたり(呼吸が苦しい)、がんや心不全など痛みやだるさが強いときも、呻吟が出ます。
でも、ですね。
現場は、教科書通りではないんですよね。
例えば認知症が進行して、意思表示のない患者さん。
目立った基礎疾患はないし、肺炎も発症していない。
症状と言えば、日々の呻吟だけ。
極端な話ですが、こんな方もいるのです。
体勢も楽な姿勢になっている(除圧クッションたくさん)
おなかも空いていない(胃ろうの栄養終了後)
どこもケガしていない
ん―??
ご本人に訊ねても、答えは返ってきません。
呻吟は娯楽かもしれない
当院の爺ちゃん先生が言うのです。
あれは、娯楽だな
空気が喉を通るのが快感なんだろうな
これ、定説ではありません。
でも、ねえ。そうかもって思うのです。
脳神経領域って、まだまだわからないことがたくさんあります。
意思表示がはっきりしないだけで、ご本人はいろいろ思うところがあるかもしれません。
身体を思うように動かせない。話もあんまりできない。
唯一、自らの意思でできるのは、息を吸って吐くことだけ。
あれ、強めに吐いたら声が出た。
息が喉を通る感覚、クセになる(*^▽^*)
こんな感じでしょうか。
実際のところは、もちろんわかりません。
でも、「苦しい」とか、「痛い」以外の視点で、患者さんと接する爺ちゃん先生が素敵だなと思ったのです。