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患者さんたちと暮らす犬たち

職場の話題
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こんにちは、しゅりです。
職場は片田舎の総合病院ですから、入院患者さんのほとんどは高齢のお年寄りです。
一人暮らしだったり、パートナーもお年寄りだったり、同居の子供さん(独身)は仕事で忙しくて朝しか顔を見ない、なんてご家庭も多いです。

そんな患者さんたち、入院してまず心配の種になるのが、ワンコのこと、なのです。

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こんな患者さんがいました。


80歳代のおじいちゃん。


夜になると、ベッド横のテレビ台の引き出しを開けたり閉めたり。
同室の患者さんのベッド横をうろうろ、カーテンから覗くので、苦情が出ました。


何をしていたのかというと、飼い犬を探していたのですね。


昼間はしっかりしているのに、夜になると症状が出ます。
面会に来た息子さんに伺うと、自宅では、ワンコといっしょに寝床に入る生活だったのでした。


写真を見せてもらうと、白いポメラニアン。
小柄でひょうきんな患者さんと、楚々としたポメラニアンの対比が、何だかユーモラスでしたっけ。

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高齢の患者さんと暮らすは、高齢のワンコというのもよくあるケース。


心不全のおばあちゃん患者さんの愛犬も、心不全。


「ちょっと長く散歩に行くと、犬の方がひっくりかえっちゃうんですよね・・・」と、娘さんが教えてくれました。
退院のときには、娘さんの車に愛犬も乗ってきており、患者さんが大喜びでした。
長毛のモップみたいな外観でした。

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認知症の患者さんが、犬と散歩に行って忘れて帰る・・・というのも時々あります。


でも「散歩に行かなきゃ」というのは覚えていて、入院中に「早く帰らなきゃ。(散歩が終われば)また戻ってきますから」となんて不安そうに訴える方もいました。

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また別の認知症の患者さん。


お一人暮らしのその部屋、冷蔵庫は空っぽでしたが、ペットフードだけは山のように蓄えられていたそうです。
救急搬送後に自宅に入った弟さんが教えてくれました。

現実問題として、一人暮らしの患者さんにとって、自宅に残した犬の世話は死活問題です。


患者さんも、そしてそのご家族さん(別居)の頭をも悩ませますね。


猫なら数日おきに様子を見に行けば何とかなるそうですが(良いことではありませんけどね)、犬の場合はそれが難しい。
まず吠え声、散歩、特に外でしか排泄しない場合は、丸一日でもほったらかしにはできないでしょう。

ペットホテルに預けたり、子供たち一同で順番に預かったり、親戚にお願いしたり・・・。


病院としての業務ではないような気がしますが、ボランティア団体にお願いして、次の飼い主探しをしたこともあります。

今や、子供の数よりもペットの数の方が多いとも聞きます(犬に限りませんけども)。


倫理的には、「迷惑だから、年寄りは犬を飼うな」とか、「一人暮らしで犬を飼うリスク」なんて主張も理解できます。


理解できますけども、「飼うな」ではなく、もしものときに対処できる仕組みを作る側になりたいと思うのです。
出来る方法もあると感じますし、ね。