ペットに装着する「マイクロチップ」をご存知ですか?
大きさはほんの数ミリ程度で、犬の場合は、肩甲骨の間あたりに埋め込みます。
マイクロチップには、飼い主情報が書き込まれており、犬と飼い主を結ぶ「絆」とも言えます。
私と暮らしている3匹の犬たちには、2019年にマイクロチップを埋め込みました。
今回はその経験と合わせて、マイクロチップ埋め込みの手続き方法についてご紹介します。
散歩中に犬が逃げた!
まだ3匹とも子どもだった頃の話です。
散歩に出かけたところ、一番幼いぼたんが逃げ出してしまったのです。
クロと茶々のリードが絡まったのを直そうとして、うっかりぼたんのリードを離してしまったようです。
そこへ折悪しく、どこかの犬が吠えました。
びっくりしたのでしょう。
ぼたんが一目散に走りだします。
人間の足ではとても追いつけず、途方に暮れました。
クロと茶々は自宅に置いて、近所のひとの力も借りて大捜索の結果、ぼたんをつかまえたのは3~4時間後でした。
本当に悪夢のような出来事です。
私自身でぼたんを見つけられましたが、それは運が良かったからでしょう。
そこでふと思いました。
日本語を話せない犬です。
どうやって私が飼い主だと証明すれば良いでしょう。
保健所に保護されたり、あるいは悪意のある人に連れ去られたら?
これがマイクロチップを入れたきっかけです。
マイクロチップとは?
マイクロチップとは、アンテナとICデータを内蔵している「電子タグ」です。
動物に埋め込む場合、チップの大きさは、長さ8mm~12mmほど。
直径2mm前後の円筒形をしていて、安全性の高い生体適合ガラスやポリマーで覆われています。
なお電池は必要なく、およそ30年ほどは作動し続けます。
チップの中には、15桁の数字が記録されおり、それを専用リーダーで読み取ることで、飼い主のデータを呼び出すことができます。
迷子や災害で犬や猫が保護された場合、マイクロチップが挿入されていれば、自治体や動物病院でデータを読み取り、飼い主に連絡をつけることができます。
そうした経緯もあり、改正動物愛護法(2019年制定)では、犬猫販売業者へはマイクロチップ装着の義務化が決まりました(個人飼い主は努力義務)。
自治体によっては、飼い主へ補助金を出しているところもあります。
マイクロチップ装着のメリット
マイクロチップに書き込まれるのは、飼い主のデータ(連絡先など)です。
「ペットの飼い主がはっきりする」こと。
これには、ふたつのメリットがあります。
迷子になった犬を早く家へ帰せる
迷子になったり、災害時にはぐれてしまった犬や猫が保護されたとき、彼らは自分では住所を話せません。
でもマイクロチップのデータがあれば、飼い主をすぐに見つけることができるのです。
ときたま発生する「ペットの盗難事件」。
店先で飼い主を待っている犬や、散歩中の飼い猫を連れ去った事例では、本当の飼い主が誰なのか、証明することは意外と難しい。
そこでも、マイクロチップのデータが役に立つのです(本来の飼い主が挿入手続きをしていれば)。
迷子札や首輪は、破損の可能性もあるし、外すこともできます。
でもマイクロチップは体内に入っていますから、無理やり取ることはできないのです。
捨て犬・捨て猫を防ぐ
ここ10年は減少傾向とは言え、それでも多くの犬・猫が毎年遺棄され、自治体で殺処分されています(平成30年度で、全国合計38.444頭)。
平成30年に全国の保健所で引き取られた犬猫は、合計91,939頭。
そのうち飼い主不明の犬猫は、77.759頭ですから8割強にもなります。
マイクロチップの義務化により、
「飼い主が判明するよ。こっそり捨てるなんて無理だから」
これが広く認知されれば、捨て犬・捨て猫の抑止力になるのではとの見方もあります。
マイクロチップ装着のデメリット
マイクロチップ挿入については、大きなデメリットはありません。
日本獣医師会によると、マイクロチップが発する電磁波による健康被害や、レントゲン・CTなど検査への障害も、ほとんと認められないと報告されています。
参考:日本獣医師会
また、マイクロチップの挿入そのものも、注射を打つこととほとんど変わらず、一瞬のうちに終わります。
痛みに弱い場合は、部分麻酔を使うこともできます。
マイクロチップを入れる方法や手続き
手術はどこで?
マイクロチップを動物の体内に挿入するのは、医療行為です。
ですから必ず、動物病院やペットクリニックの獣医師の対応となります。
手術そのものは、皮下注射とそれほど変わりなく、一瞬で終わります。
痛みは予防注射と変わらないはずですが、部分麻酔の対応をするクリニックもあります。
我が家の犬たちの場合は、元々注射が平気(暴れない)なこともあり、特に問題なく終わりました。
ちなみに埋め込みしたのは、肩甲骨の間くらいの位置です。
費用は?
挿入の費用は、数千円~1万円が目安で、動物病院によって異なります。
また、これとは別に、獣医師会への登録費用がかかります(¥1050)。
我が家の場合は、施術料が800円(1匹)に登録料。
札幌市のペットクリニックですが、周囲の病院も大体そのくらいの費用でした。
いつからできる?
我が家の犬たちは、マイクロチップ挿入時は、既に4歳と2歳でした。
ただし、犬は生後2週齢、猫は生後4週齢から装着を検討できると、獣医さんから説明を受けましたよ。
マイクロチップ挿入後の手続き
マイクロチップを挿入後は、飼い主のデータと個体認識番号を日本獣医師会に登録します。
登録料を振り込みし(2019年当時は郵便局払いのみ)、動物病院でもらった証明書と申込書を送付します。
私の場合は、その後、2週間ほどで登録完了のハガキを受け取りました。
ペットと飼い主を結ぶ「赤い糸」
いかがでしたか?
マイクロチップの埋め込みは、時間もかからず、痛みも強くなく、費用も高額ではありません。
でもいざと言うときは、とっても頼りになる存在です。
それは2011年の東日本大震災でも証明されました。
被災したペットのうち、身元が判明し、飼い主と巡り合えたケースのほとんどでは、マイクロチップが挿入されていたそうです。
参考:環境省自然環境局「東日本大震災におけるペットの被災概況」
マイクロチップは、ペットと飼い主を結ぶ「赤い糸」と言えそうです。
もし、犬の多頭飼いにご興味があるなら、こちらもぜひ。
ウチのクロ・茶々・ぼたんの話です。