こんにちは、しゅりです。
買い置きのくずきりを食べました。
そう、あの停電にも耐えて、冷蔵庫で眠っていたくずきり。
でも、賞味期限が迫っていたので、在庫2個を一気に消費です
ちょっと時期外れな気もしますが、蒸し暑かったので、さっぱり爽やかでした。
あのつるんとしたのど越しで、身体に涼しい水脈が通ったようです。
こってりした黒蜜も、やみつきになります.。゚+.(・∀・)゚+.゚
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くずきりと言えば、思い出す作家がいます。
「犬丸りん」さんをご存知ですか。
NHK教育アニメの「おじゃる丸」の作者として知られていますが、実は短編小説やエッセイも出版されています。
若くして亡くなっているので、著作数は多くありません。
でもそのひとつひとつが軽快なユーモアが感じられる、温かい文体で書かれていて(でもそこはかとなくブラックユーモアも漂っていて)、大好きな作家さんのひとりです。
彼女の作品のひとつ、「豆カンの誘惑」(「ヤキソバパンの思想」に収録されています)。
豆カン(角切りの寒天に黒蜜をかけたものですね)が大好きな犬丸さん。
いつかおなか一杯食べたいと考えていたところ、出版社にお勤めの知人(好青年!)に「甘味屋の取材に行くから、付き合って」と誘われたのです。
(中略)
その豆カン―サイコロ状にカットした寒天の上に、塩ゆでしたエンドウ豆を、「どっ」とのせて、あとは黒蜜を、「たらぁーり」とかけた、シンプルな日本のおやつ。
これを熱愛する私は、「いっぺん死ぬほど食べてみたい」という願いをひそかにもっていた。
(中略)
(デートしながら、タダ食いができる・・・・)
受話器を持つ私の手はふるえた。
こんな好運は、二年前に商店街の歳末福引でショウユ一升ビンを当てて以来だ。
「行ってくれる? ああ、よかった。ぼくはあまい物は苦手でさ・・・・・」
彼は、初産におびえる妊婦のようにかぼそい声でいう。
それに対して私は、「おまかせなさい」と、これまで三百人くらい赤ん坊をとりあげた産婆のように力強くうけあうのだった。
本当に、豆カンがお好きなようです(*゚▽゚*)
しかも好青年とのお出かけもできるのです。
わくわくしながら、豆カン食べ放題ツアー(取材)に繰り出したのですね。
でも、まあ、結局は何店舗も訪ね、何杯も豆カンを平らげるうちに、「もう十分・・・」となってしまうわけです。
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豆カン以外にも、犬丸さんの作品には食べ物のエピソードがたくさん登場します。
「ヤキソバパンの誘惑」に収録されている作品では、
子供の頃、近所に住んでいた「お妾さん」や「2号さん」と呼ばれる女性たちがごちそうしてくれたふかし芋やシチュー、クルージングで初めて口にした「キャビア」、食わず嫌いだったけど美味しかった「ヤキソバパン」など。
キャビアは別として、何てことのない日常の食べ物が、犬丸作品ではとってもいきいきして感じられるのがすごいなぁ、と。
もっと長生きしてほしかった、そんな人です。