私と暮らす犬たちは、本当に食いしん坊です。
末っ子のぼたんは、ときどきムラがあるものの、姉犬2匹(クロと茶々)は、リミットなしです。
与えれば、与えるだけ食べてしまいそうです。
犬たちを見ていると、もっと美味ししいものをあげたい。
私が食べているものも、与えてシェアしたい。
こんな気持ちになります。
でも、ちょっと待って!
人間と犬は、消化器官の造りがちょっと違います。
人間が美味しく食べているものでも、犬にとっては、毒になるものがたくさんあるのです。
今回は、日常生活でついうっかり犬に与えた場合、命を落とすほど毒性の強い食べモノをふたつ紹介します。
有名なものもありますが、私自身も犬と暮らすまで、知らなかったものもありました。
玉ねぎ・長ネギ
玉ねぎ中毒とは
「玉ねぎ中毒」という言葉をご存じありませんか。
玉ねぎには「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物が含まれます。
これが玉ねぎの風味や独特の辛みの元なのですが、犬には有毒なのです。
この「アリルプロピルジスルフィド」は、犬の赤血球を破壊し(溶血)、酸素や必要な栄養素を体内に運べなくするのです(貧血)。
食べてしまった玉ねぎが多ければ、死亡することもあります。
これが、「玉ねぎ中毒」です。
ちなみに「アリルプロピルジスルフィド」は、玉ねぎ以外にも、「ネギ類」の野菜に多く含まれます。
青ネギ、ニラ・・・。
多くのご家庭で、台所で常備してあるようなラインナップですね。
特に玉ねぎは、大量に購入し、台所の床に置いておくこともあるでしょう。
かつて、私はそうでした。
犬と暮らす以上は、玉ねぎ類の「床置き」は、絶対にやめることをお勧めします。
いたずらして、玉ねぎの半分でも食べてしまったら・・・?
取り返しのつかない事態になるのです。
加熱すれば、大丈夫?
玉ねぎに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」は、加熱しても分解・変性することは、基本的にありません。
野菜炒めにしたから、トロトロスープに煮込んだから・・・
これも与えてはダメなのです。
致死量の目安
玉ねぎは、絶対に1mgも与えてはいけない猛毒なのでしょうか。
いいえ、客観的な事実としては、それは違います。
玉ねぎの致死量は、犬の体重1kgに対し、約20g以上とされています。
けっこう多いと感じますか?
化学的に作られた薬物ではなく、玉ねぎは植物ですから、作用も穏やかと言えます。
ただし。
玉ねぎについては、食べた量の多少よりも気を付けるべきことがあります。
摂取した量よりも、犬の遺伝子によって、中毒しやすさが異なるとの報告があるのです。
有名な例だと、柴犬や秋田犬に多くみられる遺伝子形で、ハイリスクとの研究結果も一時期話題になりました。
犬の生態については、まだわからないこともたくさんあります。
他にも、玉ねぎ中毒になりやすい遺伝子形は、きっとあることでしょう。
そして、そもそも我が家の犬たちの遺伝子形なんて、調べたことはありません。
量の多少ではなく、玉ねぎは食べないことが得策なのです。
参考:大島 誠之助, 左向 敏紀 ペット栄養学会誌「禁忌食 – タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康」
キシリトール
キシリトールの危険性
キシリトールとは、「糖アルコール」と呼ばれる物質のことです。
強い甘みがありながら、カロリーは低いため、ダイエットにも役立つ甘味料として、いろいろな食品に使われています。
たとえば、シュガーレスのど飴やガム。
最近はダイエット用のお菓子もありますね。
マウスウォッシュや歯みがきペーストの成分としても一般的です。
人間には役立つキシリトールですが、犬には危険なのです。
キシリトールは、犬が摂取した場合、血糖値を急激に下げたり(低血糖障害)、肝障害を生じることがわかっています。
いずれも短期間(数分)で症状が進んだり、死に至る可能性があります。
致死量の目安
キシリトールと犬の健康被害については、まだ十分な研究成果はありません。
ただし、食事を摂らずにキシリトール製品を与えた場合、体重10kgの犬に対し1gのキシリトールで中毒症状が発生した例もあります。
参考:埼玉県獣医師会
人間用の歯みがきペーストは、犬に使える?
皆さんは、犬の歯みがきをしていますか?
我が家では、茶々が歯周病だと指摘されまして、それ以来せっせと毎晩歯みがきしています。
それで常々感じるのですが、犬用の歯みがきって高いです。
私が使っているもの何倍もします。
人間用を犬に使えるなら、経済的にはとっても助かるのに。
何度もそう思いましたが、これはダメなのです。
人間用の歯みがきペーストは、多くの製品でキシリトールが配合されています。
健康のために歯磨きをして、それで具合が悪くなっては、元も子もありません。
犬用の歯みがきペーストを使用しましょう。
食べてしまったら、どうする?
気をつけていたけれど、目を離したすきに・・・
知らずに与えてしまった・・・
そんなときに取るべき行動は、ひとつしかありません。
獣医さんに電話するか、動物病院に行きましょう!
少量なら大丈夫
症状がなければ問題ない
昔の犬は食べてた(玉ねぎ)
そんな情報も、ネット上では見かけます。
でもその情報は、よそ様のワンコの話なのです。
自分の犬が大丈夫かどうかは、素人には判断できません。
症状が強く出れば、死もあり得るのが「玉ねぎ」と「キシリトール」だということを、どうか忘れないでください。
食べモノの中毒は、避けられる事故
犬は生き物ですから、寿命があり、いつかはお別れのときがやってきます。
ただ、その時期は、できるだけ遠い未来にしておきたいです。
食べモノによる「中毒」は、飼い主の配慮で避けられる事故です。
今回紹介した玉ねぎやキシリトール以外にも、日常には危険な食べ物がたくさんあります。
でも、犬自身が勉強することは難しいのが現実。
飼い主がしっかり情報収集していきたいものです。
もし、犬の多頭飼いにご興味があるなら、こちらもぜひ。
ウチのクロ・茶々・ぼたんの話です。